こころの定年 セミリタイア

悪い我慢を続けて人生を棒に振った人  不器用にしか生きられない

昨年の芥川賞受賞作「影裏」

沼田真佑さんの小説「影裏」

 

主人公は、30前半の男性。

医薬品会社に勤めており、最近盛岡に転勤してきた。

公私共に苦悩を抱えつつ、北国でやり直したいと思っている。

会社の同僚の日浅は、唯一交流がある人物で、釣り仲間である。

 

釣りに出かけるところから始まるが、山の豊かな自然の描写が凛として

美しく見事である。

 

ある日、日浅が突然会社に来なくなり、音信も途絶える。

主人公は、空虚感を味わう。好きな釣りをしていても、我ここに

あらずといった具合に。

 

ところが日浅が、主人公の前に現れる。異業種の営業マンをしていた。

しかし、再会はほんの僅かで、その後連絡が取りあうことは無かった。

 

主人公は、盛岡にくる前に、男性と付き合っていたが、

その相方は性転換し女性になっていた。

主人公はさらに苦しさを感じつつも感情を内に秘めて暮らす。

 

そんな状況で、あの2011年3月11日を迎える。

ひあさが震災で行方不明になる。

主人公は、どうして日浅が行方不明になったのかいろいろ想像する。

この想像は、実に詳細に描写されている。

更に、震災は日浅とその父親との断絶関係を主人公に知らせることになる。

震災によって知らなくて良かったものが無残にも暴かれてしまう。

 

そして最後は。。。